インドでの時間。日本を発つ前にずっと「なぜ私がインドに呼ばれたのだろう?」と口にしていた。それは初めており立つインドの地に何があるのか?想像もつかなかったからだ。そして私は何を描き出すのだろうと。。。描きだしたらすぐに見えてきた。目ではなく耳ではなく心でもなく。存在し始めた。「なぜ私は絵を描き始めるのだろう?」と同意だという事も。描きだしてみなければ分からない、想像もつかないのだ。そんな壮大でいい加減な遊び。0から0へ。インドは何も教えてくれない。インドは全てを知っているから。私は描く。そこに意味が必要か?そこに哲学は必要か?そこに理由が必要か?入り込む。全身を使って入り込む。自分が包み込み。それ自体から包み込まれたときに。聞こえてくる。0が。音もなく。色もない。知っているはずだ。繋がりや思いや愛情の先に。描き。遊び。描く。帰りぎわにインドはそっと、私にだけ教えてくれた。あなた自身を。私自身を。ありがとう。また来るよ。 — 松岡亮
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旅や仕事でも数々の国を訪れているアーティスト・松岡亮が唯一訪れていなかったというインド。NPO法人「WALL ART PROJECT」主催の「noco&wall art festival in warli2016」に誘われ、身一つと画材を手に約2週間インド西部・マハラシュトラ州・ワルリ族とともに生活をした。プロジェクトに招待されたアーティストたちは、現地の「カルキーパダ公立学校」の壁に期間中、絵を描き上げていく。そして、その絵は彼らが去った後でも残り現地学生は、絵に囲まれ授業を受ける。日本とは全く異なる生活環境の中、様々なことに驚き感動した彼にプロジェクトについて伺った。次回プロジェクト「第1回 世界森会議」は、ワルリ族の村にて9月1日(木)~9月9日(金)までが開催予定。
(※参加申し込み締め切りは、8月10日(水)までとなりますので、ご興味ある方はインタビュー最後の詳細にてご覧ください。)
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■このプロジェクトについて簡単に説明お願いします。
プロジェクト名の「ノコ」は、インド先住民ワルリ族の言葉で「もう十分です」を意味していて。そういう「足るを知る」という彼らの精神をリスペクトして取り組む、簡単に言えば現地滞在型国際交流プロジェクトです。プロジェクトの発端は、日本の学生たちがインドの村に学校の校舎をプレゼントしたこと。でも学校は建てて終わりではない。生徒が増え、先生のお給料や運営費が必要。そんな中、1人の日本人の男の子「おかずくん」は現地に移り住み、何かできることがないかを考え、建てた学校を舞台に、仲間たちと芸術祭を開催することを始めました。以来、アートが軸になるプロジェクトや生活や建物が軸になるプロジェクトを12回も開催する事になったのです。
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■参加したきっかけを教えてください。
プロジェクトを立ち上げたあっこさんが、僕の展示を見に来てくれて、その1週間後に「インドに来ませんか?」って言われたのが最初でした。でも、インドに訪れるまではすごく不安で。10代、20代でバックパックで旅をしていたけど、何故かインドは行ってなくて。周りの友人からもインドでの状況や生活の不自由な話も聞いたりしていたから、僕の一生ではインドは行かない運命なんだなと勝手に思っていました。そしたら突然、今になってインド行く機会に巡りあってびっくりしました。
■数人アーティストが招致されるほかにも、一般の方々も参加できるそうですね。
そうです。男女年齢問わず参加できて、ボランティアスタッフとしてそれぞれ毎日役割があります。自費での参加ですが、飛行機代はその時は8万円前後、2~3週間の生活費5万円前後だから合計13~15万円くらいで滞在できます。子供から美大生からおじいちゃんまで本当に様々な年齢とバックグラウンドの人たちが、突如ワープしたようにインドで出会う光景は面白かったですね。そしてそこで生活し会話をすればするほどみんながワープして来たのではなく、それぞれが自分で選択をしてここに集まったんだなと必然を感じる時間でした。フェスティバルの準備・お手伝い役、作家のサポート役、掃除役など自分の興味ある役につきながら、誰1人暇な時間はなくて。それぞれの役割をこなしながら、1つの方向に向かって動く。その場で初めて会った日本人とワルリ族とが食事をし生活をするから、個人旅行でも団体旅行でも味わえないまるでウルルン滞在記みたいな時間でした。
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■一般的なNPO団体による国際プロジェクトと異なる魅力な所を教えてください。
一般的な貧困の国で活動するNPO団体のプロジェクトと同じような捉え方をされるのですが、彼ら自身の活動の根源は違うのかもしれません。もちろん、現地も豊かではなく真夏のグランドで子供達が裸足で遊んでいたり、女性が重い水汲みを行ったりしています。でも、彼らはただその場に様々な日本人と現地人が交わる機会を作る事からそれぞれの何かが始まるのだと信じているのだと思います。だから、純粋に「人と人の出会い」を感じられる。アーティストにとっても、何か企画を行う必要はなく、仕事でも教育でもなく、ただただ小学校の壁に絵を描いて生活をする毎日を過ごす。現地の人もプロジェクトに何か大きな意味を求めているわけではなく、そこにあるワルリ族の何時もの生活で僕らを受け入れ歓迎してくれて、一緒に料理やお酒を楽しむ。子供達も絵を描いてる教室の中で自由にお喋りしたり、質問してきたり、一緒に遊んだり。現地の人と真正面から向き合えるゆったりとしたプロジェクトだと思います。
■中々普段東京では味わえない体験だと思いますが、生活面について教えてください。
そこで生活する為の寝袋、皿なども持参しました。また、女性が井戸から汲んできた水や地下水を大切に使います。だから体を洗ったり、洗濯をしたりするのも現代の日本でのやり方とは全然違うのです。皿を洗うにしても、金ダライ3つ分で済ませなきゃいけなくて、1つめで洗って2つめで濯ぎ、3つめで完璧に綺麗にしてタオルで拭く。料理は毎食カレーでしたが、料理担当の人達が調理するからとても美味しくお腹いっぱい食べました。あえて一番辛かった事と言えば、村に向かう初日かもしれません。飛行機を乗り換えて、その後空港から初めて会う人たちと一緒に数時間車に揺れながら、想像もできない村に向かっていく。ドキドキもあってか、みんな言葉数も少なくて。村に到着し食事をし生活が始まれば、そのゆっくりとした豊かさに疲れも心配も吹き飛びました。笑
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■初日以降のスケジュールを教えて下さい。ワークショップは行いましたか?
アーティストは、日本から3人とインドから1人で各部屋の壁に絵を描き続けました。プロジェクトの最後には、3日間フェスティバルを開催して色々な人が様々な場所から絵を見に来てくれました。滞在期間中にワークショップも行い、帰国した今思えばここでも東京との違いを少し感じました。東京のワークショップだと、最初に多くの子供達は、自分が綺麗だと思う形やキャラクターを描き始めます。そのうちに、僕の作品に引っ張られて抽象化していくんです。まずは何か絵や形を描かなければいけないという認識があるんだと思います。そう教わってしまったのかな? でも、インドの子どもたちは最初から、野生的かつ感覚的に色をただただ落とし込んでいく。学校に通える子どもたちは、ごく少人数だけどその全員でエネルギーをそのままを落とし込み、爆発させる。
そして一番驚いたのは、みんな口を揃えて「クレヨンって綺麗」と感動していたことです。クレヨンも現地では貴重で大切だから、子供達は自分の手にした12色のクレヨンに夢中でした。日本では100円ショップですぐに買えるようなものでも、現地では「これさえあれば何でも作れるよ!」って大興奮させるような特別な物に変わってしまうのです。
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■日本では子どもさえも新しい物を常に欲しがる中で、その光景は感動しますね。
私の信じている「本当の豊かさ」を感じることが出来た気がします。生活環境としては、都市部の貧困の差がかなり激しく、まだまだたくさんの不自由な部分も多いですが。子供達はテープを丸めただけのボールで何時間もサッカーして遊んでいたり、周りを見渡せば野良牛や野良鶏も校庭にいたりする。大人たちも1日を急がずに、水汲みや仕事を終えて時間になれば、食事を作って会話を楽しむ。それはのんびりと言う意味ではなく働き者の豊かさ。そういう場所で東京を思い返すと、このプロジェクトに日本から1人でも多くの人が参加してくれるといいなと感じたんです。今の東京の作り手は、ただ陣地取りのために個人の才能を消費のサイクルに乗っけているだけの人も少なくないなと思います。もったいない。特に20~30代に焦って安売りをし波に乗るべきではないし、寧ろその時期にこういう場所で色々感じることの方が重要な気がするし力になると思うのです。僕自身も10~20代の頃は悶々とした時間もあったから、色々な情報に引っ張られる年代の気持ちは分かります。アイデア勝負ユーモア重視パンク精神なんて捨てて、やるべき事を・やれる事をしっかりとやる。そういう生活の様な積み重ねていく経験から何かを感じて強くなることは、本当に美しいことだと私は思います。
(その先にユーモアがありアイデアが生れ揺るがないパンクへ)
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■最後に行われるフェスティバルに向けて、子供たちが練習をしている風景を見せていただけますか。
女の子が着ているドレスは、ワルリ族の民族衣装。

 

太鼓の音に合わせて、プロジェクト参加者も一緒に踊り出す。

 

 

 

■現地での他写真も見せていただけますか。
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「第1回 世界森会議/Global Forest Meeting」
日程: 2016年9月1日(木)〜9月9日(金)
集合 / 解散: 9月9日ムンバイ空港
場所: インド・マハラシュトラ州 ダハヌ
ゲストスピーカー: ヴァンダナ・シヴァ(インド・環境学者)、遠藤一郎(日本・未来美術家)
参加費: ¥53,000 ※宿泊費・市内交通費・食費を含む。渡航費、外食費は含まれません。
参加申し込み: info★wafes.net (★を@にかえて)までご連絡ください。
参加申し込み締め切り: 8月10日(水)
説明会「世界森会議 前夜」: 8月5日、6日開催。7日の勉強会でも詳細をお伝えします。
説明会へ参加を希望される方は、info★waafes.net(★を@にかえて)までご連絡ください。
8月5日 18時~20時 @JICA地球ひろば 603
6日 18時~20時 @JICA東京国際センター
7日 9時半~12時 @JICA東京東京国際センター
https://www.facebook.com/nocoproject
主催: NPO法人ウォールアートプロジェクト
問い合わせ先: おおくにあきこ info★wafes.net(★を@に変えてください)
http://wallartproject.net/nocoproject/

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