(c) 2007 Die Gestalten Verlag, Berlin
ドイツ・ゲシュタルテン出版社の新刊『TACTILE』は、ここ数年のデザインにおけるある一つの動きを体系的に考察している。
Tactile (タクタイル) —「 触覚的であること」を意味するこの英単語は、様々なデザインを語る上で重要なボキャブラリーである。そしてこの言葉は、「触れる」ことが大きな意味を持つ、プロダクトや工芸の領域で多用されてきた。しかし近年、この単語が、グラフィックデザインを中心とする他のデザイン分野でも用いられ始めている。
その背景には、グラフィックデザインの表現として、書体やイメージなどを立体的、平面的な撮影物として制作し、写真におさめるという手法が多くとられるようになったこと、そして、デザインの思考法、方法論として、有形な物をつくりながら、それを空間の中に配置することによって考えていったり、システム的、パターン的デザイン法を構築することを多くのデザイナーが有効であると捉え始めていることがあげられるだろう。
本書では触れられていないが、Shona HeathRachel Thomasに代表される、イラストレーション、グラフィックデザイン、3-Dオブジェを包括的に扱いながらファッションショーやファッション撮影のセットデザインを手がける新たな「セットデザイナー」達の台頭も、この動きを象徴的に表しているとは言えないだろうか。
作り手、そして見る側のデスクトップからの脱却、またある種の身体性への回帰ともとれるその動きは、その独特のビジュアル性や、ショーウィンドーやセットデザインなどの商業的ニーズにも後押しされ、急速に広がりを見せている。
『TACTILE』は学生からプロフェッショナルまで、そしてグラフィックデザイン分野の内外の作品を例に挙げながら、この動きを注意深く読み解いている。デザインの現在、そして未来を知る為の一冊と言えるだろう。

(c) 2007 Die Gestalten Verlag, Berlin


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Tactile High Touch Visuals
編者: R. Klanten, S. Ehmann, M. Huebner
定価: EUR 44.00 / USD 65.00 / UK GBP 33.00
ISBN: 978-3-89955-200-3
出版: Die Gestalten Verlag
国内問い合わせ先:dgv Japan (www.die-gestalten.jp) 03-3749-3675